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ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言



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 私が“文字”を完成させたのは、私が成年に達するよりも少し前のことだった。
 文字を造ってすぐに、勿論、できる限り早くに父上に恐れ多くもお教えさせて頂いたわけだが、
「フェアナーロはいい先生だね」
 にっこり笑ってそんなことを言われると、どうにも私の心臓は落ち着かなくなる。
 日に一度のその勉強時間に、父上とご一緒するようになって大分経った。父上は本当に覚えの良い方で(当たり前か。でなければどうして今まで滞りなく政務が出来ただろう)、文字はあっという間に覚えられたし(少し悔しかったのは事実だ)、今は、勉強時間は、専ら発音と乖離した表記はないか、綴りに於いての細かい原則・例外の軽い討論と化している節もある。熱の入った討論は私とても非常に楽しい時間ではあるのだが、父上はある程度論が進むと「今日は終わり」と切り上げられることが多い。
「無理はしちゃダメだよ?」
 その言葉と共に頬に落とされる唇も、もう馴染みのこととなった。今でもその度に頬が熱くなるのを感じる自分に少し驚くほどだ。

 その日も暫しのお別れのキスを貰って、何となく動けずに座っていると、視界の端を白いふわふわした塊がかすめた。
『フィンウェほしいの?先生♪』
 ぎく、とした。
 はっきりと、父上そっくりの声がそう言った。
 と、身を竦めた私の膝に、白い塊が飛び乗った。
「………お、知恵、ちゃん、か…」
 少し、久々に会ったような気がする。こうさぎもティリオンに住んでいるから、私がどこかへ出かけている間は絶対に会えないわけだが。
 私の膝の上でこうさぎはもぞもぞと動いた後、上目遣いで(!)こちらを見て、言った。
『遊びに聞いたわけですが?』
 ……な、なんだ、突然のこの小憎たらしさは…!?
 立ち上がりかけると、それより先にこうさぎはぴょん、と私の膝から飛び降りた。捨て台詞付きで。
『フェアナーロ遊びって愛しすぎー!』

 私は久しぶりに、こどもらしく全力でこうさぎを追いかけた。

 追いかけている途中でユージュに会った。
「ユージュ!なんだあの、お知恵ちゃんの小憎たらしい発言は!」
 大体、こうさぎはもっと単語で話すものじゃなかったか?
 ユージュはへらっと笑うと、
「あー、文章しゃべる。それは成年になったってことじゃないですか?クルフィンウェさま」
 と言った。
「お知恵ちゃんお知恵ちゃ~ん。出てらっしゃ~い」
 くるっと私に背を向けると、こうさぎに呼びかける。柱の陰からこちらをじーっと見ていたこうさぎは、ユージュに呼びかけられると、ととととと、とやって来た。
「せっかくですからクルフィンウェさまを占ってさしあげて下さいな」
「何?」
 ユージュが変なことを言い出すと、こうさぎは耳をぴこっと動かした。
『ニュアンス運わるそう』
 なんだその運は…?
『全くうちのお知恵さんは本当にニュアンスつくくらい酷い思考回路でしょう』
 ……………。
 ユージュが大爆笑した。
「ヒ!ひ、酷い思考回路ですって!お知恵さん!…当たってるー!」
 笑うな。父上はそんなことは無くって、聡明さも慈愛も過ぎるような方で、民の間の噂も、…いやちょっと聖視されすぎてるきらいもあるような…う…。
『噂も違うようなとか言ってみる♪』
「こ、この…っ」
 私は衝動的にこうさぎを掴まえた。
『びっくり♪』
 こうさぎは私の腕の中で暫しじたばたした後、抜け出せないと分かったのか、しゅん、とうなだれてまた言った。
『びっくり…』
「あークルフィンウェさまが泣かしたー。悪いんだー」
「な!?」
 ユージュが茶々を入れてくる。いや、うさぎって泣くのか!?一瞬焦った時にこうさぎが言った。
『悪いごもっともー!』

 むっつりと黙り込んだ私に、こうさぎはすりすりと懐くと、囁くように言った。父上に良く似た声だった。
『こ先生が愛しいんだよね♪』

 それだけでうっかり機嫌が治りかけた私に(結局、父上に関することには弱いのだ、私は)、こうさぎは強烈な発言を残して去っていった。
『めるこ先生としようかと思ってるの♪』

 私がその後ユージュを問い詰めたのは言うまでもない。

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 お知恵ちゃんのきりぺた「50」は『成年おめでとう番』でした。
 アマンでの成人年齢、50歳。太陽時間で500歳。
 それより前にフェアノールはどうやらテングワール開発をしたようです。というわけで先生になってみたフェアノール。
 フェアノールも成長しますがこうさぎもどんどん成長します。
 ひとつき経って、文章を喋り始めた時の衝撃と言ったら…!
 weraさま、きりぺた踏んでいただいて有難うございます♪
 ちっちゃいフェアノールは大分おっきいフェアノールになってきました(笑)。
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