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ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言



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この記事はTolkien Writing Day(http://bagend.me/writing-day/)に参加しています。

 『ミンスパイとホビットの食生活について』などと真面目なタイトルをつけましたが、嘘です。ほぼミンスパイの話です。袋小路屋敷のごはんが食べたい!と叫んで終わっています。それでも仕方ないなあ、読んでやるよ、という方つづきをどうぞ。





“And raspberry jam and apple-tart,”said Bifur.
“And mince-pies and cheese,”said Bofur.
“And pork-pie and salad,”said Bombur.
      ―――J.R.R.Tolkien『THE HOBBIT』

 『ホビット』の冒頭、袋小路屋敷に押しかけて来たドワーフたちが、ビルボに口々に食べたいもののリクエストをします。ビフール、ボフール、ボンブールの3人が続けさまに言ったのがこちら。ラズベリージャム、アップルタルト、わかる。ポークパイ、サラダ、わかる。ミンスパイ、チーズ……ミンスパイってなんじゃらほい?となりませんか?
 『ホビット』の出版のくくりは「児童書」です。今なら外国の食べ物の名前がそのままカタカナで、はよくある話かもしれませんが、1960年代の瀬田訳ではこう書かれています。「ほしブドウ入りのパイ」と。
 おおなるほど、わかりやすい。少なくとも全く今もって馴染みのないターキッシュ・デライトをプリンとのメイ訳で紹介するよりはよほどナニモノかが分かる訳ではありませんか。(※私はプリンであるターキッシュ・デライト大好きですよ)
 本日は12/24クリスマス・イブ。
 Tolkien Writing Day、12月のアドベントカレンダーには相応しいネタかと思いますので、ミンスパイについて少々語らせて頂きましょう。

1、そもそもミンスパイってさ

 何?
 というところから始めましょう。
 「ほしブドウ入りのパイ」その名の通り、レーズンをふんだんに使ったパイです。とはいえミンスパイという名の通り、もともとは挽肉、ミンチ肉の入ったパイでした。
 起源としてはめっちゃくちゃ遡りましてイエス・キリストの誕生を祝った東方の三博士が捧げた没薬やら…ゆりかご型にかたどった生地に小さな像を入れて焼き上げるとか…とっても「神の子誕生・おいわいのパイ」であったわけです。
 クリスマスに食べるものといったらミンスパイ。
 現代のイギリスでも既製品は店に並び、その手前のフィリングであるミンスミートも店に並び、そもそもそこから手作り派もあり基本のお菓子であるようです。
 言い伝えも様々です。
 ・その年最初のミンスパイを食べるときに願いことをしながら話さずに食べると願いが叶う(恵方巻かな…)
 ・クリスマス(12/25)からエピファニー(1/6)までの期間、毎日いっこずつ食べると来たる1年幸せに暮らせる!(なんたるアドベント・ミンスパイ(違う))
 ・ファーザー・クリスマス(サンタクロース)のねぎらいのお菓子とミルクのお菓子はこのミンスパイ
 ・ミンスミートを作る時は必ず時計回りに混ぜないといけない。反時計回りにすると不吉なことが…

2、ミンスパイを作ってみよう

 ミンスパイの中身、ミンスミートはお店や個人によってものすごくバリエーションのあるものです。ウチの味、があるお菓子なのですね。基本的には、リンゴやオレンジ、ドライフルーツ、ナッツ、それらをラム酒とその他スパイスで漬け込んで…ということになります。
 形も様々です。歴史的にはもともと大きなパイだったようなのですが、現代的にはひとくちサイズから手のひらに乗るくらいまでの比較的小さなパイということになります。
 そういうわけでミンスミートの材料を用意して全部混ぜてひとばん寝かせて
  
 生地をこねて型に入れて
 
 ミンスミートを詰め詰めして
 
 蓋して
 
 焼き上がったらこんな感じ
 

 色々調べていたらこの星型の記事で蓋をするのがとっても可愛いので、自分で作る時はこの形です。
 私の中で、ビルボもなんか可愛いの焼いてくれてると思ってます。蓋にドングリ型とかだろうか。


3、袋小路屋敷に戻りましょう

 さて、作中の時期は別にクリスマスでもなんでもない、そして中つ国に神の子は産まれてないというか皆神の子というか、…ですが、ボフールがリクエストしてしれっと出て来たミンスパイ。ビルボが食料貯蔵庫に焼いて置いといたミンスパイ。いやもしかしたら貯蔵庫というよりもそのへんに置いてあったかもしれない。
 こんな感じに。
 
 通りすがりにヒョイパクモグリ。美味しい。

 そんなことが出来るサイズと味。
 (某児童書ではボールみたいにばんばん投げてたんですよね~大きいもの投げてるんだなーとずっと思ってたのですが石投げるくらいの気軽さでこのサイズを投げていたのかもしれない…)
 とある方から「滋味あふれるたべもの」とのお言葉を頂いたこともあります。まあ、ドライフルーツとナッツをラムに漬けこんであるわけですから、保存食であり栄養食でもある。……のかも。
 ホビットの軽い食事にも入らないおやつのとこで食べてそうなものですね。

4、お茶は4時!

 私、以前にこの「ホビット冒頭の袋小路屋敷のメニューを再現して食べる」のをしたことがあるのですが、あの思いがけないお客の食べてるメニューですね…炭 水 化 物 が多い…というか肉気が足りない…ぶっちゃけメインディッシュがない…
 なぜなら「お茶」だからです。あの宴会は。ランチでもディナーでもないんだな。午後四時のお茶というのはおそーくなってしまう夕飯の前の腹ごしらえ。ちょっと軽めの午後の食事。
 ………実際のところどうも思いがけないお客たちをもてなしている間に日は沈み、歌がはじまり、冒険の話が進み、みんな寝て朝ごはんを食べて出発…ということはビルボは「夕飯までいらっしゃるんでしょうね?」と訊いたにも関わらず結局思いがけないお客たち、夕飯は食べてないみたいなんですが、よほどこのお茶で満足したのか、はたまた冒険の話で盛り上がりすぎてお腹が空かなかったのか…
 まあ、翌朝にはめっちゃくちゃ食べて洗い物もせずに出ていったんですけどね。

 さてさて、いくらホビットが食べるの大好きで日々6回の食事をとる種族にしたって、ドワーフがあれほどてんこもり来てみんなが満足するほど食べられる…しかも事前準備なしに、というのは、袋小路屋敷の食料貯蔵庫が大きく、豊富で、そしてビルボがたっぷり食料をためこむタイプでないと説明がつきません。ビルボ・バギンズ氏は「ご趣味は?」「料理です!」と答えて良いのではなかろうか。
 しかし同時に、ミンスパイにせよポークパイにせよシードケーキにせよアップルタルトにせよ、(日本ではなく)英国の気候であろうホビット庄では3日かけて食べる分を暇な時につくった、ちょっとずつ食べる、がきくメニューでもあります。そうなると冒頭のドワーフの注文は…一般的にホビットの食料庫にはそれらのメニューが通常置いてあるものなのか…灰色衣のお茶目な魔法使いが袋小路屋敷へのご案内の際に○○がありますぞとか言っていたのか…謎がますます深まって参りました…。

5、ところでビルボってさ

 私、シルマリルの物語しか読んだことがないという奇跡のような友人がいるのですが、彼女と先日、ホビット~指輪物語まで映画をぶっとおして観る!というのを試みました。歴史順に!観る!
 そしてホビットの冒頭、例の宴会の後あたりでしたでしょうか…彼女に訊かれました。
友「ねえ、ビルボって、職業なに?」
私「……………き、貴族、かな…」
 貴族っていうかジェントリだよね、ビルボは。地主ですね。不労所得で悠々たる暮らしのひとですよね。旅を終えて財産がますます増えちゃったりするわけですが。

6、袋小路屋敷のごはんが食べたい

 由緒正しいおやしきのお茶!なんて素晴らしい響きなんでしょう…
 当初はホビットの食生活について、とか真面目に考えるつもりでいましたが、今はとりあえず袋小路屋敷にいってバギンズ殿にもてなされたい気持ちでいっぱいです。というわけでミンスパイのレシピなどを書いてこの記事を終わらせて頂きます。
 いいなードワーフ達いいなー!いやもちろんあの旅を経ての絆がゆえに「お茶は4時だけど君たちならいつでも大歓迎」を頂けたのはわかっていますが!
 クリスマスにはぜんぜん関係ないけれど、ごちそうを食べる時にはぜひとも袋小路屋敷のお茶の時間に思いを馳せてみてください。
 ちなみに私は本日、とりのまるやきを作ります。

この記事はTolkien Writing Day(http://bagend.me/writing-day/)に参加しています。


ほしブドウ入りのパイ/ミンスパイ/mince-pie (小丸型12個分)

(型は1台に円い型がいくつか並んだものが便利)

【ミンスミート】(フィリング)
トータルで300g
リンゴ 1/2個
お好みのドライフルーツ、ナッツ等
アーモンドダイス 40g
ラム酒 100㏄
きび糖 30g
オリーブオイル 3.5g
シナモン・クローブ 少々

【生地】
薄力粉 120g
卵 1/2個
砂糖 45g
有塩バター 60g


ミンスミート (前日から仕込むと良い)
1、リンゴは皮を剥きみじん切り
2、ドライフルーツ・ナッツもみじん切り
3、1と2とアーモンドダイスを足して300gになるように調節する
4、残りの材料と共に蓋のある器に入れ、よく混ぜる
5、冷蔵庫で1晩置く

生地
1、卵は室温に戻しておく
2、薄力粉を振るっておく
3、冷えたバターを5ミリ角に刻む
4、ボールに薄力粉と砂糖を入れ、刻んだバターを入れて、
  フォークの背でバターをつぶすようにしながら混ぜる(ぱらぱらした粉状になる)
5、卵を加え、手でなんとかまとまる程度にまとめる
  (水分足りてないなと思う程度・どうしてもまとまらない時は冷水を足す)
6、生地をラップで包み、冷蔵庫で30分~1時間ほど寝かせる

オーブンを180度で予熱しておく

成型
1、生地を0.5㎜くらいの厚みに伸ばし、底にする丸型と、蓋にかぶせる星型を抜く
  (○に☆で蓋をするのが完成形)
2、丸型生地を型に敷きこみ、ミンスミートを詰める(できるだけ水分を切る。詰めすぎると溢れるので注意)
3、星型生地で蓋をし、余った卵を塗る
4、オーブンで15分焼く


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