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ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言



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 こうさぎが父上とおんなじなまえなのは、ちょっとヘンだとおもう。
 だって、それならわたしは、このこうさぎをなんて呼んだらいいんだろう?
 と、とつぜんこうさぎは目をさまして、わたしのうでからとびだして、はねていってしまった。
「あ…」
 父上のおなまえを呼びすてにするのもはばかられて、どうしようかまよっているうちに、こうさぎは角をまがって見えなくなった。
「ま…まてっ」
 あわてておいかけていくと、角の向こうから「ぎゃー」という声がきこえた。
「お知恵ちゃんちょっとあんた!お知恵さんから逃げて来たの!?」
 角をまがるとそこには――
「んもー悪いこうさぎだなっ!めっ!」
 大きなこげ茶色の目をした女の人が、こうさぎをつかまえて、ゆかにぺったんとすわっていた。……こうさぎはなついている。
 わたしがちかづいていくと、その人はかおを上げて「あ」と言った。
「あー、クルフィンウェさま、こんにちは」
「そなたはだれだ?」
「こうさぎの世話役です。ユージュと申します。お見知りおきを。……お知恵ちゃんなんかしましたか」
 ユージュはこうさぎをだっこしたまますわりこんでいる。立ってもたぶん、ふつうのおとなよりずっと小さいせたけだろう。
「そのこうさぎは、わたしが父上からいただいたのだ」
 ユージュはへえ~、と言った。
「呼びにくいですよねぇ」
「え」
「名前。叱りにくいですよ“こらフィンウェ!”って。ねぇ?」
 わたしはあたまがちょっとぐるぐるするのをかんじつつ、うなずいた。
「なので私はこの子を“お知恵ちゃん”って呼ばせていただきます。良いですよね?」
「お知恵ちゃん…」
「フィンウェさんがお知恵さんなんで。ちっちゃいフィンウェさんつまりお知恵ちゃん」
「お知恵ちゃん…」
 わたしはもう1回つぶやいた。こうさぎがユージュのうでから出て、足元によってきた。
「あ、定着しましたね。あー良かった。フィンウェって呼ばないと反応しなかったんですよこの子。フィンウェさんが楽しそーに呼びすてするから」
「よびすて…?」
 しかめつらをしたわたしのまえで、ユージュはまくしたてた。
「そーです。そりゃもう楽しそうにフィンウェフィンウェ呼びすてしながらむぎゅっとしたりなでなでしたり。ご自分の名前呼んで何が楽しいんですかねぇ」
 わたしのあたまの中ではそのこうけいが、かなりしっかりおもいうかんだ。………。
「父上のかんがえていらっしゃることは、たまに、よくわからない…」
「クルフィンウェさまもわっかんないんですね。んじゃ私がわかるわけないですね」
 わたしはしみじみ言うユージュのまえで、こうさぎの“フィンウェ”…お知恵ちゃんをだっこした。

+++  +++
遊んでます。
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