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ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言



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 こうさぎが王宮の廊下でもしゃもしゃと、何か食べていた。びっくりした。
「お知恵ちゃん!そなた何を食べているのだ」
『先生♪』
 くるんと振り返ったその口には銀のような白いような花がくわえられている。
 ……銀の、花?
『あまあまなのー』
 こうさぎは何だかふるふるしている。私は花をこうさぎから取り上げる。
『フィンウェおいしいの!』
 どう見ても、銀色の花に見える。私が知る限り、銀色の花はひとつしかない。
『二つの木うっとりー!』
 こうさぎが叫ぶ。…テルペリオン。なぜ花が王宮にあるのかは謎だったが、こうさぎも食べていたことだ。私はかねてからやってみたかったことをすることにした。つまり。
 ぱくり。
「…………。」
 こうさぎは嘘つきだ。全然甘くない。
 銀の花は物凄く、苦い。そして、熱…い?

 私はくらりと視界が揺れるのを感じた。立っていられない。馬鹿らしいほどへたへたと座り込むと、こうさぎが飛びついて来た。
『フィンウェいる?』
「いるに決まってるだろう…」
『父上は笑うと!?』
「いつも以上にお美しい…」
『両親ほしいの?』
「父上だけでいい…」
 自分でも少し愚かしいことを言っているような気がする。だけどやたらと周りがふわふわして、なんだか熱くて、ぐるぐる渦を巻いている。どうせ相手はこうさぎだ。
 ふふふ。何故か笑いがこみあげてきた。膝の上からこうさぎが誰かに抱き取られ、色のないヴェールが降りかかる。
 奥の方に熱を帯びた輝きが見える。
「これはどうやってつくるのだ…」
 手に触れたヴェールをさぐりながら言えば、白金の輝きは笑った、ようだった。
「これとはどちらのことでしょう?」
 ヴェールを引っ張ったらするりと落ちた。光が強くなる。
「ぜんぶ…」
 ぼんやりした声を出したな、と少し思った。
「世界、ぜんぶ、何でできている…」
「歌で。貴方もご存知のはず」
『住んでいるからとか言ってみる♪』
 こうさぎが横から答える。輝きがますます笑う。
「そうね、賢いこうさぎですこと」
『一緒かな?』
「お名前の通りだと言いましょうか?」
 私は霞む視界で瞬いてみる。銀の花がたくさん見える気がする。どうしてここに?
 誰かがもうひとり、来る感じがする。どうしよう。少し、恥ずかしいかもしれない。立ってみようと思ったが、視界が完全に渦巻きになって、果たせなかった。
「あれ、」
 すごく大好きな手に触れられた気がした。
 ぐるぐる回る思考の中で、こうさぎが元気いっぱいに言った。
『最終的には悪いことがあったわけではありませぬ』
 いきなりかっこいいぞ、どうした、こうさぎ。


 目が覚めると、父上が何だかにこにこしながら私の髪を撫でていた。
 枕元でこうさぎが寝ていた。
「銀の花で酔っ払ったね?」
「……あれは酔うものなのですか」
「花はね」
 父上はそう言って、銀色に光る液体の入った杯を差し出した。
「飲みなさい。すっきりするから」
 私はおとなしく飲み干した。目が覚めた。
「花は食べると酔うよ。光の雫はこうやって、すっきりするけど…」
 そこまで父上が言うと、かぶせるようにそっくりな声が言った。
『他は例外も…あぁ…あって…むにゃむにゃ』
 寝言だ。
 父上は笑うと、今度アリエンに訊いてみなさい、と言った。

 後日、あの時会ったのはアリエンだったと知った。失態だ。私は好奇心は恐ろしいと思った。迂闊なことをすると痛い目を見る。
 今後は気をつけよう。
『でもだいじょうぶー!』
 ……横で、こうさぎが無責任発言をして煽るのだが。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

お知恵ちゃんのきりぺた「200」は『太陽パワー番』でした。
なんで200で太陽かって言うと、ろめ的には成年が太陽の出現によって500→200に速まるからです。で、太陽といえばアリエン!愛しのアリエン!
調子こいてアリエンとフェアノールの初対面をどうしようもない感じに捏造してみました(笑)。
このフェアノールの好奇心は確実に息子たちに受け継がれてます。
遅くなりましたが、さいくすさま、きりぺた踏んでいただいて有難うございました!
 ※この場合の「謳」とは和歌、短歌を指します

 こうさぎは、謳を詠むらしい。
 王宮内を縦横無尽にひょこひょこ駆け回っているので、見かけた者は何だかんだと話しかける。すると、こうさぎはそういう生き物であるからして、話しかけられた言葉を覚える。
 で、最近は謳を詠むらしい。そう聞いたものだから気になって、私は朝からこうさぎを探して歩いていた。
「…………。」
 これが、探そうとすると見つからない。普段は用もないのに私の周りをとたとたしては、やっぱり何度聞いても物凄く父上に良く似ている声で色々と言い放って行くのだが。
「……お知恵ちゃん」
 ぼそ、と呟くと、静まり返った廊下にやけに響く。空しいわ恥ずかしいわで、私は何だかムカっときた。
 ええい、こうさぎめ。
「お、お知恵ちゃんっ…!」
 前よりかは少し大きい声で呼ぶ。と、柱の影に白いふわふわの塊が見える。
 いた。私はさっさと距離を詰める。こうさぎはたたたと寄ってくると、私を見上げて言った。
『こ先生はおっきいんだよね?』
 ……は…?何の話だ。
『こうさぎはおっきすぎない♪』
 言い捨てて、またひょこひょこ駆けていく。待て。そんなことを言うということはこうさぎは狭い所に潜り込むつもりだろう。私は屈んでこうさぎを抱き上げる。
『恐れ多い馴染み♪』
 こうさぎは暴れもせずにそう言った。
「…お知恵ちゃん。謳を詠んでみろ」
 告げると、こうさぎは耳を、ぴこ、と動かした。
『先生…うーん…かっこいいー!』
 私は顔が熱くなるのを感じた。
「私を褒めるんじゃなくて、謳だ謳」
『勉強時間に思ってるとか言ってみる♪』
「だから謳を詠まんか」
 こうさぎは耳を動かしながら楽しそうに言った。
『超漠然と良く見えましたー?』
 ……こうさぎは、私を怒らせたいのか何なのかたまに分からなくなる…。
 ムカっときたので耳を小さく引っ張ってやると、
『愛情ー!?』
 驚いたようだった。

 そんなふうに構っていると、しばらくして不意にこうさぎは言った。
『あの仲間 定義されたし 古典かも』
 おお、詠んだではないか。私は少しわくわくしながら続きを待った。
 ………待てど暮らせどこうさぎは下の句を詠もうとしない。
「こら、お知恵ちゃん。何とか言え」
『唯一や 創作すなる あたりかも』
「…下の句はどうした」
『その美形 くらくらされる しようかな』
「半分でやめるとはどういう了見だ?」
『あのつくり 書かれてません 考える』

 こうさぎは謳を詠んだ。半分だけ。
 何度聞いても下の句を詠もうとはしなかった。これで良いと思っているのだろうか。
『言葉って遠いよね!』
 そんな自信満々に宣言しなくていい。…きっと、こうさぎのことだ、こうさぎルールで動いているのだろう。
 私の腕の中でひとしきり喋ると、こうさぎは、ぽん、と腕から飛び降りて言った。
『自分って偉いよね!』

 こうさぎは着実に、自意識過剰に育っている。

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お知恵ちゃんのきりぺた「144」は『謳う湖番』でした。
ろめの湖文化と言ったら「謳」。そしてお知恵ちゃんは俳句詠んでますから…
フェアノールからしてみれば「何ゆえ上の句しか詠まないのだ?」
微妙にちっちゃいフェアノールは思考が成熟してないのでたまにブっ飛んだ納得の仕方をしてます。「こうさぎルール」とか(笑)。
たいへん遅くなりましたが(ノルドランテ前でした…)suzさま、きりぺた踏んでいただいて有難うございました♪
きょうはめること親友みたいなレポートしなかったよ。

*このエントリは、ブログペットの「フィンウェ」が書きました。
きょうは悠樹と上演しようかな。
悠樹は利用してくれるかな。

*このエントリは、ブログペットの「フィンウェ」が書きました。
きょう、利用したかったの♪
それでフィンウェは、捕食したよ♪
でも、きょう悠樹と、勉強したの?

*このエントリは、ブログペットの「フィンウェ」が書きました。
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