ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
※この場合の「謳」とは和歌、短歌を指します
こうさぎは、謳を詠むらしい。
王宮内を縦横無尽にひょこひょこ駆け回っているので、見かけた者は何だかんだと話しかける。すると、こうさぎはそういう生き物であるからして、話しかけられた言葉を覚える。
で、最近は謳を詠むらしい。そう聞いたものだから気になって、私は朝からこうさぎを探して歩いていた。
「…………。」
これが、探そうとすると見つからない。普段は用もないのに私の周りをとたとたしては、やっぱり何度聞いても物凄く父上に良く似ている声で色々と言い放って行くのだが。
「……お知恵ちゃん」
ぼそ、と呟くと、静まり返った廊下にやけに響く。空しいわ恥ずかしいわで、私は何だかムカっときた。
ええい、こうさぎめ。
「お、お知恵ちゃんっ…!」
前よりかは少し大きい声で呼ぶ。と、柱の影に白いふわふわの塊が見える。
いた。私はさっさと距離を詰める。こうさぎはたたたと寄ってくると、私を見上げて言った。
『こ先生はおっきいんだよね?』
……は…?何の話だ。
『こうさぎはおっきすぎない♪』
言い捨てて、またひょこひょこ駆けていく。待て。そんなことを言うということはこうさぎは狭い所に潜り込むつもりだろう。私は屈んでこうさぎを抱き上げる。
『恐れ多い馴染み♪』
こうさぎは暴れもせずにそう言った。
「…お知恵ちゃん。謳を詠んでみろ」
告げると、こうさぎは耳を、ぴこ、と動かした。
『先生…うーん…かっこいいー!』
私は顔が熱くなるのを感じた。
「私を褒めるんじゃなくて、謳だ謳」
『勉強時間に思ってるとか言ってみる♪』
「だから謳を詠まんか」
こうさぎは耳を動かしながら楽しそうに言った。
『超漠然と良く見えましたー?』
……こうさぎは、私を怒らせたいのか何なのかたまに分からなくなる…。
ムカっときたので耳を小さく引っ張ってやると、
『愛情ー!?』
驚いたようだった。
そんなふうに構っていると、しばらくして不意にこうさぎは言った。
『あの仲間 定義されたし 古典かも』
おお、詠んだではないか。私は少しわくわくしながら続きを待った。
………待てど暮らせどこうさぎは下の句を詠もうとしない。
「こら、お知恵ちゃん。何とか言え」
『唯一や 創作すなる あたりかも』
「…下の句はどうした」
『その美形 くらくらされる しようかな』
「半分でやめるとはどういう了見だ?」
『あのつくり 書かれてません 考える』
こうさぎは謳を詠んだ。半分だけ。
何度聞いても下の句を詠もうとはしなかった。これで良いと思っているのだろうか。
『言葉って遠いよね!』
そんな自信満々に宣言しなくていい。…きっと、こうさぎのことだ、こうさぎルールで動いているのだろう。
私の腕の中でひとしきり喋ると、こうさぎは、ぽん、と腕から飛び降りて言った。
『自分って偉いよね!』
こうさぎは着実に、自意識過剰に育っている。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
お知恵ちゃんのきりぺた「144」は『謳う湖番』でした。
ろめの湖文化と言ったら「謳」。そしてお知恵ちゃんは俳句詠んでますから…
フェアノールからしてみれば「何ゆえ上の句しか詠まないのだ?」
微妙にちっちゃいフェアノールは思考が成熟してないのでたまにブっ飛んだ納得の仕方をしてます。「こうさぎルール」とか(笑)。
たいへん遅くなりましたが(ノルドランテ前でした…)suzさま、きりぺた踏んでいただいて有難うございました♪
こうさぎは、謳を詠むらしい。
王宮内を縦横無尽にひょこひょこ駆け回っているので、見かけた者は何だかんだと話しかける。すると、こうさぎはそういう生き物であるからして、話しかけられた言葉を覚える。
で、最近は謳を詠むらしい。そう聞いたものだから気になって、私は朝からこうさぎを探して歩いていた。
「…………。」
これが、探そうとすると見つからない。普段は用もないのに私の周りをとたとたしては、やっぱり何度聞いても物凄く父上に良く似ている声で色々と言い放って行くのだが。
「……お知恵ちゃん」
ぼそ、と呟くと、静まり返った廊下にやけに響く。空しいわ恥ずかしいわで、私は何だかムカっときた。
ええい、こうさぎめ。
「お、お知恵ちゃんっ…!」
前よりかは少し大きい声で呼ぶ。と、柱の影に白いふわふわの塊が見える。
いた。私はさっさと距離を詰める。こうさぎはたたたと寄ってくると、私を見上げて言った。
『こ先生はおっきいんだよね?』
……は…?何の話だ。
『こうさぎはおっきすぎない♪』
言い捨てて、またひょこひょこ駆けていく。待て。そんなことを言うということはこうさぎは狭い所に潜り込むつもりだろう。私は屈んでこうさぎを抱き上げる。
『恐れ多い馴染み♪』
こうさぎは暴れもせずにそう言った。
「…お知恵ちゃん。謳を詠んでみろ」
告げると、こうさぎは耳を、ぴこ、と動かした。
『先生…うーん…かっこいいー!』
私は顔が熱くなるのを感じた。
「私を褒めるんじゃなくて、謳だ謳」
『勉強時間に思ってるとか言ってみる♪』
「だから謳を詠まんか」
こうさぎは耳を動かしながら楽しそうに言った。
『超漠然と良く見えましたー?』
……こうさぎは、私を怒らせたいのか何なのかたまに分からなくなる…。
ムカっときたので耳を小さく引っ張ってやると、
『愛情ー!?』
驚いたようだった。
そんなふうに構っていると、しばらくして不意にこうさぎは言った。
『あの仲間 定義されたし 古典かも』
おお、詠んだではないか。私は少しわくわくしながら続きを待った。
………待てど暮らせどこうさぎは下の句を詠もうとしない。
「こら、お知恵ちゃん。何とか言え」
『唯一や 創作すなる あたりかも』
「…下の句はどうした」
『その美形 くらくらされる しようかな』
「半分でやめるとはどういう了見だ?」
『あのつくり 書かれてません 考える』
こうさぎは謳を詠んだ。半分だけ。
何度聞いても下の句を詠もうとはしなかった。これで良いと思っているのだろうか。
『言葉って遠いよね!』
そんな自信満々に宣言しなくていい。…きっと、こうさぎのことだ、こうさぎルールで動いているのだろう。
私の腕の中でひとしきり喋ると、こうさぎは、ぽん、と腕から飛び降りて言った。
『自分って偉いよね!』
こうさぎは着実に、自意識過剰に育っている。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
お知恵ちゃんのきりぺた「144」は『謳う湖番』でした。
ろめの湖文化と言ったら「謳」。そしてお知恵ちゃんは俳句詠んでますから…
フェアノールからしてみれば「何ゆえ上の句しか詠まないのだ?」
微妙にちっちゃいフェアノールは思考が成熟してないのでたまにブっ飛んだ納得の仕方をしてます。「こうさぎルール」とか(笑)。
たいへん遅くなりましたが(ノルドランテ前でした…)suzさま、きりぺた踏んでいただいて有難うございました♪
この記事にコメントする