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ろめ日々の雑記=すなわちその日どんなネタを考えていたか、と化している妄想屋の日々の戯言



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 二次創作ぶっちゃけバトンのうち、具体例をあげる設問に答えるべくちょこっとがんばったもの。
 私は基本的に、下書きを手書きでして、タケハヤに入力する際に本格的な推敲をする。というわけで、下書きパーセンテージが高ければ高いほど、「しっかり」推敲をしたと思ってる場合が多い。
 ……でも、ほとんど直さない場合もあるわけで。
 というわけで、下書きパーセンテージ別の具体例をみっつ。


①【眺望】の場合 下書き・90%

 2006年12月10日とファイルではなっているが、下書きをしたのは5日。だって授業中だったんだもん。ネタ帳を見ていると、アナイレとエアルウェンのキャラ紹介の間に唐突に「眺望」は始まる。

以下ネタ帳ママを再現してみました。

『眺望/彼女は身を隠すことに長けていた。危険を察知すること、予測すること、見張ることに長けていた。流れを読むことに長けていた。狩は得意だったが戦場にいるべきではなかった。少なくとも、退却していく味方に逆らって、押し寄せる敵の波の来る方へ、彼女にとっての爆心地へゆくべきではなかった。/だが彼女は駆けていった。二人の、最も近しい味方は彼女を守ってくれた。彼女にはその意識はなかった――彼女は自分のことなど考えていなかった。ただ彼女の息子の父親であるひと、ノルドールの上級王、勇敢な、そして無謀な、そして愛しい男の元へ行くことしか考えていなかった。正確には、「彼」の身体のある場所へ。/星々を仰ぐ湖で彼女は生まれた。薄明の紛らわしい中つ国で、まだ星と炎以外のいかなる光も知らなかった頃、黒の乗り手と獣におびやかされる日々に生まれた。――危険だと、感覚が知らせないはずはなかった。目覚めの湖で生まれた者は皆知っていた。安穏としてはいられないことを、そして生き残るためにはどうすればいいのかを。誰が見てもここは戦場。まもなく夜が来る。闇が降りてくる。ここにいるべきではなかった。向かうべきではなかった。だというのに何故この足はそちらへ向かう。彼女は喘いだ。折れて転がった旗を掴んで布地だけを引きはがした。布が要る。包むものが要る。ああ、血にまみれたものではなく。ああ、どんな悪意がこのように惨いことを。/
目的の場所に着いた時、空には太陽も月も見えなかった。空よりも大地は暗い。星々の見えるようになるまではまだしばし時がいる。夜の深きよりも大地の暗くなる時間。闇の生き物たちは平原の彼方か、山脈の深くに追撃に去った。彼女はかつて闇の深くを見た。地下の凝る闇を見た。守られた美しい森の闇を見た。星の隠れた闇を見た。暗闇は彼女を阻まなかった。/けれど彼女は月光を待とうと思った。暗い大地で、彼女はオークどもの屍骸をひたすら投げ捨てた。さらに、彼の近衛、忠実なる哀れな兵士たちの遺骸をひとところに並べた。捜すまでもなく彼らの遺骸は拾えた。そして彼女は「そこ」に目を向けた。/暗闇は彼女の視線を阻みはしなかったが、色彩というものは見えなかった。あるいは光があっても見えなかったのかもしれない。彼女は濡れた布を掴んだ。これは旗だ。重く濡れて、きっと青と銀色は黒ずんだ赤に染まっている。/その旗の陰に、彼女は細長い小さな肉片を拾う。指。彼女はそう囁く。ああ、これは手の一部。彼女はそう言い、拾う。/この大地は血をたたえている。彼の血の上に立っている。そして彼の遺骸を拾う。割れた兜、千切れた外衣、砕けた鎧、つまりは千々に引き裂かれ、叩き潰され、原型のない肉塊と成り果てた彼女の愛しい男。/足を拾う。腕を拾う。まだそれは形がある。液体にまみれた何かを掴む。冷たい金属のかけらと、固い骨に触れて、彼女はそれが臓腑だと気づく。ではこちらもそうか。彼女は大地にはりついた布地の周辺をさぐる。彼女自身も血にまみれる。彼女は不思議に思う。この大地は血を吸って固まったのではなかったか。何故にこのように水の中に立っている。泥の底を足が感じる。それともこれも「彼」の身体なのだろうか。湿った肉片を彼女は掴む。ああ心臓だ。彼女は呟く。/濡れた臓腑を彼女は拾う。布のようにまとわりつく皮膚を拾う。そして突き出した骨を拾う。砕かれ張りつく鎧を拾う。「爆心地」に膝をつき、血泥にまみれて彼女は拾う。/☆割れた兜の影に、彼女は損なわれていない顔の一部を見る。瞳を合わせて微笑み、けれど手は伸ばさずに彼女はまた拾う。これは首。肩。片方の耳。あごと下の唇を見つけて彼女は拾う。下唇を指でなぞり、彼女はうっとりと目を細める。鼻と損なわれた眼、そして頭蓋の一部を拾う。脳漿を掻き集める。/………☆彼女は微笑み、兜を拾う。半分以下の顔と髪、それが欠けた兜の中にある。ぼとりと目玉が落下する。彼女は足元に身をかがめ、それを、見つける。/□そして最後に彼女は目玉を拾う。その霧のかかった紫を見つめ、彼女は月の光に気づく。愛しげに瞳を見つめ、彼女は囁く。/さあ、お前を見つけたぞ。/乾いた王旗に亡骸を包み、彼女は月光の下を歩き出す。///奪われた山頂と砦、凍みとおる冷たい風を感じて、彼女は立っていた。彼女がかつて息子を生み落としたところ、かの領主が憩いとしていた洞窟を出て、彼女は静かに涙を流した。頬に一滴を感じるや否や、彼女は駆け出し、泉に飛びこんだ。今や流浪の身となった、ここの領主に会いに行こうと決意する。未だ汚されていない泉に赤い筋が流れる。胸に小さな袋を抱きしめ、彼女は冷たい水の中で泣く。泣いて泣いて、ようやく泉の外に顔を出し、彼女は喉に凍てつく空気を吸った。会いに行かなければ、彼女は思った。同盟の盟主、かの領主、「彼」の従兄。//□その袋には一房の紅い髪。彼女は悟り、微笑む。では盟主殿は「彼」の髪を抱いているだろう。そして、おそらくは、最愛の従弟の死を伝えに、彼女の息子のところへ行くだろう。彼女は「彼」の髪を切る。紅い髪と黒い髪を合わせ、きつく編んで胸に抱く。ではこれは我が守り。□どんな悪意がこれを為したのか。どんな呪いが彼らを抱くのか。そしてどんな幸福を手に入れるのか。彼女は空を仰ぐ。見えるはずのない未来を眺め望む。/さあ、お前をみつけたぞ。/彼女は言った。冷たい空気に言葉は凝った。これが彼の墓標。』

 クリストファー氏に習って注釈をつけるなら、
「ほとんど手を止めることなく一気に書き上げたような筆跡が、4ページを丸まる埋め尽くしている。/で段落を分けることを示唆し、ところどころの文章は線で消され、また記号(☆と□)で文章の順番を入れ替えることが示されている。完成稿と比較すると後半の「彼女」の行動が大分違うことが分かる。涙を描くことを止めている」って感じですか。
 この下書きを打ち込む際に順番を並べ替え、段落を分け(一部は指定されてますが、そこで区切ったとは限らない)、行間を開け、読みやすくかつ伝えやすく直します。90%書けてれば、ほんとに打ち込み=推敲。ええ、私の必需品は紙と鉛筆ですともさ。
 ただしこの書き方の場合、プロットなんぞはたててません。単に授業中に思いついた(しかも文章の形で)だから、急いで忘れる前にメモしたってこと。だから打ち込み(推敲)段階で大きく変化したりする。彼女が泣かなくなったのにはそれなりの理由があったかと思われます。ぶっちゃけ、ここで泣くキャラじゃないって感じたんでしょうが。おそらくは。


②【好嫌】の場合 下書き・ほぼ0%

 2006年12月1日。23時を過ぎたあたりで、突然ネタハコに、むしろ残響に放り投げられそうな気がする。書庫にいるトゥアゴンが降ってくる。書き出す。
 その日、やはり授業中に私はトゥアゴンのキャラ紹介を書くべく頑張って紆余曲折していたらしい。「好嫌」の下地になったであろう記述は以下の通り。

 ネタ帳ママをやはり目指してみる。

『マエズロスはトゥアゴンのこと嫌いだ。むしろ憎い。「なぜお前がそこにいる」「そこにいるのになぜ動かない」的に嫌いだ。何かするに際して、最も信頼できる相手で、期待値が高いだけにムカつくのかも…。トゥアゴンはトゥアゴンで、マエズロスはイヤな相手だろうな。実は、フェアノール一族郎党が憎いといっても、マエズロスのことは別枠でイヤだと思う。むしろロスガールの船焼きとかも「あのひとの情は全く逆に止めを刺す」と納得がいく感じで。「ああやっぱり」というか。フィンゴンがおろおろしてるのを見て、あー兄上はてんであのひとのこと分かってないな、というか。イヤだけど好きだよ。ていうかマエズロスも好きなんだよね。好きで期待値が高いからムカつくというか。お互い意識しすぎてムカつく相手だろうなぁ。トゥアゴンはマエズロスは信頼に足るし任せとけばいいんじゃない?と思うけど、情をかけられると間違いなく見事に滅ぼしてくれるからイヤなんだな。家族すげー大事だもん。
 マエズロスはニアナイスの時、盟主はトゥアゴンであるべきだと思ってたんじゃないだろうか?だからニアナイスの後、ゴンドリンによりいっそう憎悪を抱いたんじゃないだろうか?実はドリアス襲撃も、トゥアゴンが怒りに出てこないかなーとか思ってないか?実はトゥアゴンを愛してないか?君の滅ぼす情で。
 でもマエ兄には情をかけると必ず相手を滅ぼす自覚はないんだよ。』

 ↑のネタから生まれたのが「好嫌」である。
 この時すでに私の船焼き設定はほぼ決まっていた、らしい。
 そしてこうも書いている。

『マエズロスに対するトゥアゴンの屈折した愛がどうも離れない。サンゴロドリムにフィンゴンが出かけたときも、「これでフィンゴンが帰ってこなかったら、私の手を最初に濡らす同族の血は、マエズロス、あなたの弟たちだ」とかね…。』

 そして私の中でマエズロス&トゥアゴンは推奨コンビに決定した。
 で、書きあがったのは好嫌である。完成品を見るに、最初は「書庫にいるトゥアゴン」を見るマエズロスが降ってきたのに間違いない。そして行き詰ったからトゥアゴンに視点チェンジ。そしたら「やだやだ」って気持ちが膨れ上がってキーワード「情をかけられると間違いなく見事に滅ぼしてくれる」「でもマエ兄には情をかけると必ず相手を滅ぼす自覚はない」が複合してあんなことに。 
 オチに迷ったらマエズロスが囁いた。「引きこもってさめざめと嘆くのさ、己の因業な愛を」それ聞いたトゥアゴンがますます惚れた。何の罠だ。
 書き終わって眺めたら、どう考えてもネタハコレベルでなかった。オチついてる。ストーリーに放り込んだ。
 推敲はざっと眺めて、しないことにした。ゆるさもまたこのコンビの特徴だ、きっと。
 というわけで「好嫌」はどちらかというと神様の贈り物タケハヤ画面上バージョンです。家で書けたのを軽く奇跡だと思った、この頃は。これ以降タケハヤで一発書きでも大分書けるようになった。


③【わかれるまひる】の場合 下書き・50%

 2007年1月21日、「好嫌」のように唐突に話が書けそうな気になる。書いてみる。ネタ帳に残っているのは以下の通り。

『「好きにならずにいられない」キアダンにとってマハタンは「猫」…なるほど、(マエズロスを思いうかべ)あれは(フィンウェさんを思いうかべ)こっちじゃなくて(目の前のマハタンを見)こっちの遺伝だったのかー…。そしたらナマコかなんかを突っつき回してたマハタンが顔をあげて「なぁ、ノォウェ殿、これ、ホントに食べ物か?」って聞いてくるからひょいっとつまんで食べる。/こんなこともあった。彼は清められた炉のようだ。火を抱く土であり、水を支える石だ。なるほどだから彼は木の細工をするのだ。それも、日常に使うものを。「今度、船をつくらないか」言うと彼は笑う。「どこへゆくのかな?」「エレッセアから離島をめぐるか、もしくは空を漕いで星の上に」すると彼は優しい目をしてこう言う。「ほんとうは、俺は、湖へゆきたい」「もう、道はないよ」「ああ」「歩いても走っても、ゆけない」「うん」「まずは貴男も船を造ってみるといい」「さて――俺の船になってくれる木と会えるか、どうか」「木と会う?」「リンダールには必要のないことだよ」
 いつだったかリンドンで「どの髪色がお好き?」ゲームが流行って、「金・黒・銀、どれがお好み?」と聞きまくったらキアダンが言った。「全部好きだが一番は匠の赤毛」逃げの一手だと思ったが、最後の船でアマンにたどりついてみれば出迎えた面々の中にひとりだけ、美しい赤銅の髪。「ノォウェ殿」と親しげに柔らかく言う声を聞いた。成程このひとが「匠の赤毛」か。』

 ↑これ+夢十夜+テルーの唄=わかれるまひる、である。
 ほんとのところ、この程度の下書きからタケハヤに向かってうーわーあー!と書き上げる率がかなり高い。
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